「ねえねえ、生徒会ってどうなの?」
昼休み。いつものように咲良と姫華と食堂に集まってお昼ご飯を食べている。
「思ってたよりも大変かな……」
今は五月。生徒会に入部して早一ヶ月。あっという間の時間だったな。
入るまでは生徒会って何しているんだろうって不思議だったけど、入ってみたらびっくり。
先生の手伝いから雑用にボランティアまで生徒会の仕事は多種多様だ。
まだ学校もできたばかりだからルールが整ってない。
それが余計に生徒会の仕事が多い要因みたい。
けど、学校のために頑張っているのに誰からも感謝されないんだよね。
私も入るまではそっち側だったから気持ちはわかるんだけど。
ま、大変なのは生徒会の仕事だけじゃないんだけどね……。
生徒会は普通枠の生徒が仕切っている。
私たち、特別枠は邪魔者扱いだ。
会長の見えないところで雑用ばかり任され、嫌がらせだってされる。
こんな環境で常盤君はずっと耐えてきたんだ。
「でも、常盤君とはいつも一緒にいれるんでしょ?」
常盤君の名前を聞くだけでドキッとしてしまう。
そう。生徒会に入ってからはいつも常盤君と一緒にいる。
「いいなあ、常盤君といつも二人きりでいられるなんて」
「ちょっと変なこと言わないでよ」
しーっと咲良の口に指を当てる。
どこで誰が聞いているかわかったもんじゃない。
もし、常盤派の女子に聞かれでもしたら……。そこから先は想像もしたくない。
「だって本当のことでしょ」
「違うって。塩田君っていう常盤君の友達もずっといるの」
「なんだー。残念だったね、舞奈」
「別に残念じゃないし」
これは強がりじゃないんだよ。
常盤君と二人きりだったら恥ずかしくて何を話していいかわからない。
塩田君はいつもおちゃらけてるけど常盤君のことをいつも考えている。
私たち三人は結構いいチームじゃないかって思っているんだ。
「常盤君、教室でも最近変わってきたよね。なんか明るくなった気がする」
生徒会選挙は十月。それまでに支持率を集めるのが当面の目標だ。
選挙に勝つためにはこの人に票を入れたいって思える魅力が必要だ。
だから普段の生活から無愛想はやめて笑顔を多くしたらってアドバイスしたんだよね。
その効果がじわりじわりと出てきている。
私の作戦、バッチリだ。
「えへへ、そうだよね」
「常盤君の話をしたらなんで舞奈が喜んでいるの?」
おっと。これは私と常盤君の秘密だ。
「生徒会に入ってわかったけど常盤君、すごいいい人だからさ。みんなにもそれが伝わって嬉しいなって思って」
「常盤君って優しいってよりはクールでかっこいい感じだもんね」
咲良がサラダを食べながら言う。姫華も「そうそう!」と相槌を打っている。
「でも優しくてかっこいいのはやっぱり一色君だよね」
「一色君の笑顔、超眩しいもん。あんな素敵な笑顔はいい人にしかできないよ」
こう思っているのは二人だけじゃない。天聖学園の多くの生徒は同じ思いのはずだ。
常盤君はクールでかっこいい。
それは私も認めるし、そんな常盤君が好きだ。
だけどそれだけでは選挙には勝てない。
生徒から圧倒的に支持を集めているのは一色君のほうだ。
学校のために考えて行動ができる。人の見ていないところでも気遣う優しさがある。
それを多くの人に知ってもらわないと。
「舞奈、顔ちょっと怖いよ」
咲良に言われて、考え事に夢中になっていることに気がついた。
「舞奈は逆に常盤君に似てきたんじゃない?」
「好きな人には似てくるって言うもんね」
「もう、変なこと言わないでよ」
私、常盤君と似てきているのかな。
嬉しいような、嬉しくないような。
……いや、どう考えてもあんな険しい顔してないでしょ。
それよりも常盤君のことを知ってもらう新しい手を考えないと。
それが今の私がやるべきことだ。
昼休み。いつものように咲良と姫華と食堂に集まってお昼ご飯を食べている。
「思ってたよりも大変かな……」
今は五月。生徒会に入部して早一ヶ月。あっという間の時間だったな。
入るまでは生徒会って何しているんだろうって不思議だったけど、入ってみたらびっくり。
先生の手伝いから雑用にボランティアまで生徒会の仕事は多種多様だ。
まだ学校もできたばかりだからルールが整ってない。
それが余計に生徒会の仕事が多い要因みたい。
けど、学校のために頑張っているのに誰からも感謝されないんだよね。
私も入るまではそっち側だったから気持ちはわかるんだけど。
ま、大変なのは生徒会の仕事だけじゃないんだけどね……。
生徒会は普通枠の生徒が仕切っている。
私たち、特別枠は邪魔者扱いだ。
会長の見えないところで雑用ばかり任され、嫌がらせだってされる。
こんな環境で常盤君はずっと耐えてきたんだ。
「でも、常盤君とはいつも一緒にいれるんでしょ?」
常盤君の名前を聞くだけでドキッとしてしまう。
そう。生徒会に入ってからはいつも常盤君と一緒にいる。
「いいなあ、常盤君といつも二人きりでいられるなんて」
「ちょっと変なこと言わないでよ」
しーっと咲良の口に指を当てる。
どこで誰が聞いているかわかったもんじゃない。
もし、常盤派の女子に聞かれでもしたら……。そこから先は想像もしたくない。
「だって本当のことでしょ」
「違うって。塩田君っていう常盤君の友達もずっといるの」
「なんだー。残念だったね、舞奈」
「別に残念じゃないし」
これは強がりじゃないんだよ。
常盤君と二人きりだったら恥ずかしくて何を話していいかわからない。
塩田君はいつもおちゃらけてるけど常盤君のことをいつも考えている。
私たち三人は結構いいチームじゃないかって思っているんだ。
「常盤君、教室でも最近変わってきたよね。なんか明るくなった気がする」
生徒会選挙は十月。それまでに支持率を集めるのが当面の目標だ。
選挙に勝つためにはこの人に票を入れたいって思える魅力が必要だ。
だから普段の生活から無愛想はやめて笑顔を多くしたらってアドバイスしたんだよね。
その効果がじわりじわりと出てきている。
私の作戦、バッチリだ。
「えへへ、そうだよね」
「常盤君の話をしたらなんで舞奈が喜んでいるの?」
おっと。これは私と常盤君の秘密だ。
「生徒会に入ってわかったけど常盤君、すごいいい人だからさ。みんなにもそれが伝わって嬉しいなって思って」
「常盤君って優しいってよりはクールでかっこいい感じだもんね」
咲良がサラダを食べながら言う。姫華も「そうそう!」と相槌を打っている。
「でも優しくてかっこいいのはやっぱり一色君だよね」
「一色君の笑顔、超眩しいもん。あんな素敵な笑顔はいい人にしかできないよ」
こう思っているのは二人だけじゃない。天聖学園の多くの生徒は同じ思いのはずだ。
常盤君はクールでかっこいい。
それは私も認めるし、そんな常盤君が好きだ。
だけどそれだけでは選挙には勝てない。
生徒から圧倒的に支持を集めているのは一色君のほうだ。
学校のために考えて行動ができる。人の見ていないところでも気遣う優しさがある。
それを多くの人に知ってもらわないと。
「舞奈、顔ちょっと怖いよ」
咲良に言われて、考え事に夢中になっていることに気がついた。
「舞奈は逆に常盤君に似てきたんじゃない?」
「好きな人には似てくるって言うもんね」
「もう、変なこと言わないでよ」
私、常盤君と似てきているのかな。
嬉しいような、嬉しくないような。
……いや、どう考えてもあんな険しい顔してないでしょ。
それよりも常盤君のことを知ってもらう新しい手を考えないと。
それが今の私がやるべきことだ。


