怪盗が最後に盗んだもの

「では、フローレンス様の警護をさせていただきます。お前たちはここを頼んだぞ」

「はい!」

部下たちに大広間を任せ、ジョディはフローレンスと共に与えられた部屋へと向かった。そこは屋敷で使わなくなったものが雑に詰め込まれた物置部屋だった。どの部屋よりも狭く、どこか埃っぽい。しかし、フローレンスが普段使っている屋根裏部屋よりは綺麗だ。

現在、この屋敷の周りは警察官がぐるりと取り囲んで周囲を見張っている。屋敷の中にはジョディを含めて十人以上の警察官がおり、屋敷は人の出入りが禁じられている。ネズミ一匹入らない状況だ。

「うまくいくように頑張りますね」

ジョディの言葉に、フローレンスはゆっくりと頷いた。