こうして、毎年恒例のクリスマスパーティーが始まる。
あたしは、キッチンから料理を運ぶ。
全ての料理をテーブルに並び終えたところでみんな集合。
「じゃ、食べましょうか」
お母さんがそう言って、みんなグラスを手に持つ。
「メリークリスマス!」
“カツーン”
グラスの音が鳴る。
拓真は毎年変わらず、料理にがっついていた。
そんな姿さえ、愛しいと思う自分。
「相変わらずがっつくね」
「優衣の母さんの料理は美味いからな」
そう言って満足そうに食べて、笑顔を見せる。
この笑顔をこうして隣で見る事ができるのは、今年が最後なのかな。
ふとそんな事を考えてしまい、あたしは隣で笑う拓真を見ては切なくなる。
寂しい、悲しい…そんな感情ではない。
自分でも分からない感情がずっとあたしを支配していた。
もう、やだよこんな感情。
しんどいよ、拓真ーーー


