転生悪役令嬢はヒロインとの百合ルートをご希望です！

リン子は頷いた。
いやはや、現実はもっと深刻なのだが。
面倒くさいのでリン子はそういうことにしておいた。
エプロン姿の女性は納得したように頷くと、リン子の前に手を差しのべた。
「アナタはママルン・ブルー様とパパルン・ブルー様の娘のリンルン・ブルー様というのですよ。
私はアナタのお手伝い、カールでございます。」
リン子はカールの手を取ると、聞いてみた。
「お手伝いってことは、あたしはお嬢様なの？」
カールが頷いた。「そうですよ、ここの村ではね。」
リン子は返事の代わりに頷いた。
「さ、家へ参りましょう。」

しばらく歩いていくと、豪華な家があった。
リン子は目を見張った。「これがあたしの家？」
「そうでございますよ。」カールが言った。
これまでの小屋とは天と地の差で、壁はレンガで造られていた。2階まであり、窓が4つほど付けられていた。正直な話、リン子の前世の家よりも立派だった。
カールが大きい扉の取手を引くと、ぱっと広い部屋に出た。
ギギーッと音がして扉が閉まると、部屋が暗くなった。
カールがなにやらをカチッと押すと、ゆっくりと電気がついた。
リン子は部屋を見渡した。
真ん中に古びたような、でもどこか綺麗な不思議な階段があり、壁には絵画が飾られていた。
階段をのぼっていくと、廊下に出た。
廊下にも絵画が飾られており、壁は美しい白だった。
コツコツという2人の足音しか響かない廊下を進んでいくと、奥に扉があった。いや、かしこに扉があった。カールが言うには、どれも役割のある部屋だそうだ。
「ここがお嬢様の部屋でございますよ。」
カールが一番奥にあった扉に手を差しだすと、リン子に言った。
金縁の取手を開くと、カールとリン子は部屋に入った。
部屋には大きい気持ちよさそうなベットと、テーブル、イス、衣装ダンスがあった。
リン子がベットに腰かけると、寝てしまいそうだった。
「では、ご自由に。」
カールがお辞儀して言うと、部屋を出ていった。
リン子はため息をついた。