たくさんのカメラがある前で、水玉リン子はポーズを取っていた。
水玉リン子は今はもはや誰も知らない人がいないというほど人気モデルだった。
様々な雑誌やビルのモニターを飾り、ドラマやバラエティ番組に参加など凄まじい活躍をしている。
撮影がおわると、リン子はタクシーで家に帰り、趣味である恋愛シミュレーションゲームをしていた。
仕事の時とは正反対の服装で。
着ている服はヨレヨレ、目が悪いためメガネ、髪の毛は手入りされていなくボサボサ。
まさしくオタクという格好だ。
そんな格好をもしリン子とバレたらおわる。
だからいつも目まで隠してしまうほどのキャップをかぶり、なんとか身を隠して過ごしている。
みんなのイメージはきっと小綺麗なため、バレる心配はなかった。
が。
リン子は今ピンチに陥っていた。
さっきまでゲームとお供にしていたお菓子がなくなり、近場のコンビニに来ていた。
そこで見知らぬ男に声をかけられ、今に至る。
相手が誰か思い出そうとしていたリン子に、男がとんでもないことを言う。
「アナタ、リン子さんですよね。」
リン子が固まる。
冷静になろうとしたが、こういう経験が少ないリン子は、焦ってしまった。
「そ、そんなわけないじゃないですか。どこがあのリン子だと？」
声がうわずる。