望んだ通りの取り引きができて満足したのか、彼がうっとりとした目を向けてきた。すかさず私の顎に指をかけ、こちらに顔を寄せる。

璃子(りこ)、君は最高のパートナーだ」

 白々しい美辞麗句を並べて、強引に唇を奪う。柔らかな感触と背徳的な温もりに、気がおかしくなりそうだ。

 この選択が正しいものだとは思わない。だが、彼が欲望を叶えるための道具として私を消費するというのなら、私も彼を利用してやる。

 愛に満ち溢れた幸せな家庭などいらない。

 そんなものがなくても幸せになってやる。

 私は私の願いを叶えるために、この身を悪魔に売り渡した。

 その決断に後悔はない。