〇学校・1階渡り廊下(昼休み)
じめじめとした蒸し暑さの中、5時間目の授業のために特別教室へ移動している透衣。
渡り廊下の横にある中庭に目をやると青や紫の紫陽花が咲いている。
透衣「綺麗…もうそんな季節かぁ」
矢染「俺は紫陽花より透衣ちゃんの方がずっと綺麗だと思うけどー?」
頭上から声が降ってきて、驚いて振り返る透衣。
透衣「そうですか?私より、先輩の方が綺麗ですよ」
矢染「それ、どういう意味で言ってる?…俺のは『透衣ちゃんに恋してます』って意味なんだけど」
透衣「へ…」
透衣を真っ直ぐ見つめる矢染。
2人の間に沈黙が流れる。
いつもの柔らかい表情とは違い、どこか緊張した様子の矢染を見て、真剣な告白だと理解した透衣。
透衣「あの…えっと、」
矢染「返事はまた今度ね。ちょっとは夢見させてよ」
切なそうな表情で微笑み、その場を去る矢染。
透衣(今のどういう意味だろう?なんか、振られる前提みたいな言い方だったな…)
〇学校・特別教室(5時間目)
班ごとに話し合いをしている。
教室内に話し合いの内容や雑談が飛び交う。
小麦「…い……透衣!」
はっとして顔を上げる透衣。
向かいに座っている小麦が怪訝そうに透衣を見つめる。
小麦の隣に座っている光も不思議そうな表情をしている。
光「白瀬さんが授業中にぼーっとするなんて珍しいね。なんかあったの?」
透衣「んー…そう、だね」
困ったように笑う透衣。
小麦「何?どうしたの?」
興味津々な様子で聞いてくる小麦。
吹雪「…透衣、しんどい」
透衣「え、具合悪い?立てる?保健室行こ」
ゆっくり立ち上がり歩き出す吹雪。
吹雪の背中に手を置いて寄り添う透衣。
先生「おーい、お前ら何してるんだ?」
光「説明はしておくから、行きな」
小声で透衣に伝えたあと、すべてを察したような目で吹雪の方を見る光。
〇学校・廊下(5時間目)
誰もおらず静まり返っている廊下に透衣と吹雪の足音が響く。
廊下を曲がったところで吹雪が透衣を抱きしめる。
透衣「ちょっ、吹雪?」
吹雪の透衣を抱きしめる力が強くなる。
無言で吹雪の背中をトントンする透衣。
吹雪「…さっき、こないだ図書室で一緒にいた人に告白されてたね」
透衣「え?!見てたの?」
吹雪「声は聞こえなかったけど、話してるのは見えた」
少し間が開いて透衣が口を開く。
透衣「何で、聞こえなかったのに告白って分かったの?」
透衣(あれ…返事がない…)
透衣「吹雪?」
顔を上げるも、吹雪の顔が見えない透衣。
吹雪「俺の『好き』も分かってよ、透衣。……ずっと伝わらないのも、俺の想いより先に他の男の想いが伝わったのも、しんどい」
透衣(吹雪の体、熱い………あんなにいつもそばにいるのに全然気付かなかった…)
予想外の言葉に何も言えず固まり、真っ赤になる透衣。
透衣(俺の『好き』“も”って…ことは……。…なに、この気持ち…胸がきゅってなる…)
(先輩のときと全然違う………吹雪の『好き』には、応えたいと思った。…私、吹雪のことが好き、なんだ)
じめじめとした蒸し暑さの中、5時間目の授業のために特別教室へ移動している透衣。
渡り廊下の横にある中庭に目をやると青や紫の紫陽花が咲いている。
透衣「綺麗…もうそんな季節かぁ」
矢染「俺は紫陽花より透衣ちゃんの方がずっと綺麗だと思うけどー?」
頭上から声が降ってきて、驚いて振り返る透衣。
透衣「そうですか?私より、先輩の方が綺麗ですよ」
矢染「それ、どういう意味で言ってる?…俺のは『透衣ちゃんに恋してます』って意味なんだけど」
透衣「へ…」
透衣を真っ直ぐ見つめる矢染。
2人の間に沈黙が流れる。
いつもの柔らかい表情とは違い、どこか緊張した様子の矢染を見て、真剣な告白だと理解した透衣。
透衣「あの…えっと、」
矢染「返事はまた今度ね。ちょっとは夢見させてよ」
切なそうな表情で微笑み、その場を去る矢染。
透衣(今のどういう意味だろう?なんか、振られる前提みたいな言い方だったな…)
〇学校・特別教室(5時間目)
班ごとに話し合いをしている。
教室内に話し合いの内容や雑談が飛び交う。
小麦「…い……透衣!」
はっとして顔を上げる透衣。
向かいに座っている小麦が怪訝そうに透衣を見つめる。
小麦の隣に座っている光も不思議そうな表情をしている。
光「白瀬さんが授業中にぼーっとするなんて珍しいね。なんかあったの?」
透衣「んー…そう、だね」
困ったように笑う透衣。
小麦「何?どうしたの?」
興味津々な様子で聞いてくる小麦。
吹雪「…透衣、しんどい」
透衣「え、具合悪い?立てる?保健室行こ」
ゆっくり立ち上がり歩き出す吹雪。
吹雪の背中に手を置いて寄り添う透衣。
先生「おーい、お前ら何してるんだ?」
光「説明はしておくから、行きな」
小声で透衣に伝えたあと、すべてを察したような目で吹雪の方を見る光。
〇学校・廊下(5時間目)
誰もおらず静まり返っている廊下に透衣と吹雪の足音が響く。
廊下を曲がったところで吹雪が透衣を抱きしめる。
透衣「ちょっ、吹雪?」
吹雪の透衣を抱きしめる力が強くなる。
無言で吹雪の背中をトントンする透衣。
吹雪「…さっき、こないだ図書室で一緒にいた人に告白されてたね」
透衣「え?!見てたの?」
吹雪「声は聞こえなかったけど、話してるのは見えた」
少し間が開いて透衣が口を開く。
透衣「何で、聞こえなかったのに告白って分かったの?」
透衣(あれ…返事がない…)
透衣「吹雪?」
顔を上げるも、吹雪の顔が見えない透衣。
吹雪「俺の『好き』も分かってよ、透衣。……ずっと伝わらないのも、俺の想いより先に他の男の想いが伝わったのも、しんどい」
透衣(吹雪の体、熱い………あんなにいつもそばにいるのに全然気付かなかった…)
予想外の言葉に何も言えず固まり、真っ赤になる透衣。
透衣(俺の『好き』“も”って…ことは……。…なに、この気持ち…胸がきゅってなる…)
(先輩のときと全然違う………吹雪の『好き』には、応えたいと思った。…私、吹雪のことが好き、なんだ)



