〇学校・校庭(開会式の前)
体育祭当日、曇り空の下、体操服を着て頭にハチマキを巻いた生徒たちがテントの下に置かれた椅子に座っている。
透衣が自分の席に向かうと隣には既に吹雪が座っている。
吹雪「透衣、こっち」
透衣「え、あ、うん」
吹雪のもとへ行くも、小麦の発言を思い出して、どんな顔をしていいか分からず吹雪から目をそらす透衣。
透衣の腕を引っ張り、向かい合った形で自分の膝の上に座らせる吹雪。
透衣「わっ、え、ちょ、何して」
吹雪「全然俺の方見ないから」
透衣「み、見てるよ。ほら…」
顔を上げ、吹雪と近距離で目が合う透衣。
透衣(近っ……あれ、でも、いつもはこのくらいの距離でも何も思わないのに、なんか…)
顔を真っ赤にして顔を背ける透衣。
透衣(吹雪ってこんなに大人っぽかったっけ…?)
吹雪「どした?なんか様子変だけど」
開会式の集合のアナウンスが入る。
透衣「い、行こ!早く並ばないと」
目も合わせず、逃げるようにその場を離れる透衣。
駆け足で去っていく透衣を見つめて不思議そうにする吹雪。
〇学校・校庭(午前の部)
いくつかの競技が終わり、女子生徒によるブロックごとのダンスが始まる。
明るい音楽とは対照的に、黒い雲が厚くなり、空の暗さが増す。
踊っている透衣の頬にぽつりと雨粒が落ちてくる。
透衣(…雨?)
思わず空を見上げる透衣。
土砂降りの雨が降ってくる。
音楽が止まり、テントの下の自分の席に戻るようにアナウンスが流れる。
走ってテントへ向かう生徒たち。
透衣(わぁ…結構濡れちゃったな)
椅子に座り、自分のナップサックを開け、タオルを取り出して、髪の毛を結んだまま押さえるように拭く透衣。
吹雪「貸して」
透衣に手を差し出す吹雪。
透衣「ん?このタオル?」
透衣(吹雪も雨に濡れて…ないな。じゃあなんで…?)
不思議そうな顔でタオルを渡す透衣。
吹雪「ん。後ろ向いて」
言われるがまま吹雪に背を向ける透衣。
透衣のポニーテールをほどこうとする吹雪。
透衣「い、いいよ、外さなくて」
吹雪「俺が結びなおすから。ちゃんと拭かないと風邪ひくじゃん」
ほんのり頬を赤く染めながら黙って俯く透衣。
タオルで丁寧に優しく透衣の髪を拭き、手際よく結びなおす吹雪。
透衣「ありがと…丁寧だよね、吹雪」
吹雪「好きだからね」
吹雪「そっか」
透衣(な、何が?髪を結ぶのが?それとも…)
動揺して地面を見つめる透衣。
固まっている透衣を不思議そうに見つめる吹雪。
吹雪(いつもだったら『へー、髪結ぶの好きなの?』って言いそうなのに)
体育祭当日、曇り空の下、体操服を着て頭にハチマキを巻いた生徒たちがテントの下に置かれた椅子に座っている。
透衣が自分の席に向かうと隣には既に吹雪が座っている。
吹雪「透衣、こっち」
透衣「え、あ、うん」
吹雪のもとへ行くも、小麦の発言を思い出して、どんな顔をしていいか分からず吹雪から目をそらす透衣。
透衣の腕を引っ張り、向かい合った形で自分の膝の上に座らせる吹雪。
透衣「わっ、え、ちょ、何して」
吹雪「全然俺の方見ないから」
透衣「み、見てるよ。ほら…」
顔を上げ、吹雪と近距離で目が合う透衣。
透衣(近っ……あれ、でも、いつもはこのくらいの距離でも何も思わないのに、なんか…)
顔を真っ赤にして顔を背ける透衣。
透衣(吹雪ってこんなに大人っぽかったっけ…?)
吹雪「どした?なんか様子変だけど」
開会式の集合のアナウンスが入る。
透衣「い、行こ!早く並ばないと」
目も合わせず、逃げるようにその場を離れる透衣。
駆け足で去っていく透衣を見つめて不思議そうにする吹雪。
〇学校・校庭(午前の部)
いくつかの競技が終わり、女子生徒によるブロックごとのダンスが始まる。
明るい音楽とは対照的に、黒い雲が厚くなり、空の暗さが増す。
踊っている透衣の頬にぽつりと雨粒が落ちてくる。
透衣(…雨?)
思わず空を見上げる透衣。
土砂降りの雨が降ってくる。
音楽が止まり、テントの下の自分の席に戻るようにアナウンスが流れる。
走ってテントへ向かう生徒たち。
透衣(わぁ…結構濡れちゃったな)
椅子に座り、自分のナップサックを開け、タオルを取り出して、髪の毛を結んだまま押さえるように拭く透衣。
吹雪「貸して」
透衣に手を差し出す吹雪。
透衣「ん?このタオル?」
透衣(吹雪も雨に濡れて…ないな。じゃあなんで…?)
不思議そうな顔でタオルを渡す透衣。
吹雪「ん。後ろ向いて」
言われるがまま吹雪に背を向ける透衣。
透衣のポニーテールをほどこうとする吹雪。
透衣「い、いいよ、外さなくて」
吹雪「俺が結びなおすから。ちゃんと拭かないと風邪ひくじゃん」
ほんのり頬を赤く染めながら黙って俯く透衣。
タオルで丁寧に優しく透衣の髪を拭き、手際よく結びなおす吹雪。
透衣「ありがと…丁寧だよね、吹雪」
吹雪「好きだからね」
吹雪「そっか」
透衣(な、何が?髪を結ぶのが?それとも…)
動揺して地面を見つめる透衣。
固まっている透衣を不思議そうに見つめる吹雪。
吹雪(いつもだったら『へー、髪結ぶの好きなの?』って言いそうなのに)



