「ここ人来ないもんね」



私は独り言のように呟いた。


……待てよ。


ここに来てるってことは、この不登校ギャルは不登校じゃない……?


ただのギャルだったってこと!?


あ、でも、サボってることは変わりないよね。


……サボり魔ギャル?


なんか違う、しっくり来ない!


ていうか、わざわざこんなところでサボるくらいなら教室に来たらいいのに。


でもやっぱり視線とか態度とか嫌だよね。


あんな腫れ物を扱うようにされて、いい気分なんてしないはずだ。


……仕方ないよね。



「ねー?飯田さん。これからもここでサボるの?」



「まあそうでしょ。あたしが教室行ったらみんな嫌そうだし」



飯田さんは、なぜか少し笑いながらそう言った。


どうして楽しそうなの。


どうしてこんな質問に笑って答えられるんだろう。



「もう下校チャイムなるし行くわ」



私がぼーっと考えていると、ふとそんな声が聞こえる。


私は慌てて、



「またね!飯田さん!」



遠回しにまた話そう、という意味で声をかけた。


飯田さんはさっきの私のように、ビクッと肩を揺らしてから、顔だけ振り返り、



「またねー」



その一言だけ私に言って帰って行った。