「今まで……ごめんなさい。なかなか助けられなくて……本当にごめんなさいっ……っ」

 エレインはこれまで堪えていた想いが爆発してしまったのか、むせび泣くようにして泣いていた。

「姉上……モニカから、いつも心配してくれていたと聞きました。ありがとうございます。姉上に心配をおかけしてしまい、何も返すことも出来ず、不甲斐ない弟で申し訳ありません」

 そうして姉弟の二人は無言で抱き合い、お互いの存在を確かめるようにしていた。

 ああ……なんて、嬉しい。

 私は身体中から、無性にこみ上げるものを感じていた。

 だって、小説の中ではウィリアムとエレインの二人は、わかり合うこともなく、死に別れてしまう。

 ウィリアムがエレインの思いを知るのは、物語終盤で、もう何もかも終わってしまった後だった。

 そんな切ないIFストーリーを知っている私には、二人がこうして面と向かって仲直りしている光景が、眩しすぎて……尊すぎて……ああなんて、美しいの。

 やはり、この二人には、この先、絶対に幸せになってもらわなくては……いえ。私がそうしなければ。

「いや、泣きすぎだろう」

 不意に私の方を見たウィリアムは、呆れたようにして言った。

 こんな二人を見て……私が泣かない方が、おかしいんです。

 だって、私はあなたたちのことが書かれた文章だけを読んだだけでも、号泣していたんですよ。