ポケットにあった、アイロンが当てられていない、しわしわのハンカチを渡してくれた。ウィリアムは王族、しかも王太子なのよ! ……本当に、ここの使用人は何をしているの。
それに、こんな不幸な境遇に居ても、なんて優しいの。ウィリアムったら……いじめっ子が泣いていると見たらハンカチを渡してくれるなんて。
自分の方が絶対に、泣きたくて辛いはずなのに。
「ごめんなさいごめんなさい。ごめんなさい……」
ぽろぽろと涙をこぼし、しくしくと泣き続ける私モニカを見て、ウィリアムはどうすれば良いのかと戸惑っている。
ついさっきまで、わかりやすいくらいに憎々しい悪役令嬢だったモニカが、急に乱心してしまったと考えているのかもしれない。
そんな彼のこれからを、熱烈な読者として私は良く知っている。会う人全てに蔑まれ、誰にも何も期待しない寂しい男性になってしまうウィリアムは、常に愛に飢えていたことを知っている。
ヒロインキャンディスが救い出すまで、物心ついてからずっと苦しんできたのだ。
「……おい。なんだよ。いきなり……どうかしたのか」
それに、こんな不幸な境遇に居ても、なんて優しいの。ウィリアムったら……いじめっ子が泣いていると見たらハンカチを渡してくれるなんて。
自分の方が絶対に、泣きたくて辛いはずなのに。
「ごめんなさいごめんなさい。ごめんなさい……」
ぽろぽろと涙をこぼし、しくしくと泣き続ける私モニカを見て、ウィリアムはどうすれば良いのかと戸惑っている。
ついさっきまで、わかりやすいくらいに憎々しい悪役令嬢だったモニカが、急に乱心してしまったと考えているのかもしれない。
そんな彼のこれからを、熱烈な読者として私は良く知っている。会う人全てに蔑まれ、誰にも何も期待しない寂しい男性になってしまうウィリアムは、常に愛に飢えていたことを知っている。
ヒロインキャンディスが救い出すまで、物心ついてからずっと苦しんできたのだ。
「……おい。なんだよ。いきなり……どうかしたのか」



