私はふと視線を落とし何気なく胸元に目をやると、そこには真っ直ぐで艶やかな銀色の髪。彼とは真逆に、艶があり美しく手入れされていた。
「おい。なんだよ。いきなり黙って……何か言えよ」
洗練された美貌を持つ少年は、まるで毛を逆立てた猫のように、目の前に居る私を威嚇しているようだった。
猫が前脚を突っ張ってシャーって言ってるあの感じ、わかってもらえるかしら。その姿は可愛いけれど、この子は怒っているのね、というあの感じ。
「……ウィリアム様」
ウィリアムの希望に応じて私は彼の名前を呼んだ時に、まるで閃くようにして、この身体にある記憶を思い出し、自分が誰であるかを理解した。
……え。嘘でしょう。よりにもよって、私。今、悪役令嬢モニカなのだわ。
目の前で私を威嚇して睨み付けているのは『君と見る夕焼け』の男主人公、ウィリアム・ベッドフォード。
そして、私は彼の婚約者の悪役令嬢、モニカ・ラザレス。王位を受け継ぐはずの王太子でありながら、身分が低い母から生まれ父親である国王に愛されていないという悪条件に産まれ、不遇な立場にある彼を虐め抜く張本人だ。
「おい。なんだよ。いきなり黙って……何か言えよ」
洗練された美貌を持つ少年は、まるで毛を逆立てた猫のように、目の前に居る私を威嚇しているようだった。
猫が前脚を突っ張ってシャーって言ってるあの感じ、わかってもらえるかしら。その姿は可愛いけれど、この子は怒っているのね、というあの感じ。
「……ウィリアム様」
ウィリアムの希望に応じて私は彼の名前を呼んだ時に、まるで閃くようにして、この身体にある記憶を思い出し、自分が誰であるかを理解した。
……え。嘘でしょう。よりにもよって、私。今、悪役令嬢モニカなのだわ。
目の前で私を威嚇して睨み付けているのは『君と見る夕焼け』の男主人公、ウィリアム・ベッドフォード。
そして、私は彼の婚約者の悪役令嬢、モニカ・ラザレス。王位を受け継ぐはずの王太子でありながら、身分が低い母から生まれ父親である国王に愛されていないという悪条件に産まれ、不遇な立場にある彼を虐め抜く張本人だ。



