「いいえ。あの方にも……母上王妃様と弟君ジョセフ様への建前があるのです。ですから、私がここに頻繁に来ていても、エレイン様より何も言われていません……私が好意的に接するようになってから、ウィリアム様の様子を尋ねられることだってあります。どうでも良い弟に対し、そのようなことをするでしょうか」
「……姉上は俺を本当に、嫌っていないのか?」
ついこの前には真っ黒でハイライトも見えなかったウィリアムの瞳には、その時には純粋な驚きの光があった。
「あの方が嫌ったりするはずがありません。ウィリアム様の待遇が少しでも改善されるようにと、動いてくれています。エレイン様はいつもウィリアム様を心配されていますよ」
「……そうか」
考え込んでしまったウィリアムも、今では憂い顔が減って拗ねたり笑ったり怒ったりと、表情がくるくると変わる。年齢相応の男の子に戻った彼を見ていると、私だって嬉しくなる。
必要ない不幸にならなくて良いのなら、ならないで良いと思う。
けど、不幸な王子様ウィリアムを物語開始前に幸せにするという、私の役目は……そろそろ、終わりに近いのかもしれない。
「……姉上は俺を本当に、嫌っていないのか?」
ついこの前には真っ黒でハイライトも見えなかったウィリアムの瞳には、その時には純粋な驚きの光があった。
「あの方が嫌ったりするはずがありません。ウィリアム様の待遇が少しでも改善されるようにと、動いてくれています。エレイン様はいつもウィリアム様を心配されていますよ」
「……そうか」
考え込んでしまったウィリアムも、今では憂い顔が減って拗ねたり笑ったり怒ったりと、表情がくるくると変わる。年齢相応の男の子に戻った彼を見ていると、私だって嬉しくなる。
必要ない不幸にならなくて良いのなら、ならないで良いと思う。
けど、不幸な王子様ウィリアムを物語開始前に幸せにするという、私の役目は……そろそろ、終わりに近いのかもしれない。



