【コミカライズ】仕事の出来る悪役令嬢、薄幸王子様を幸せにアップグレードしておきました。

 私はウィリアムのためにも、こんな場所で死ぬつもりなんてないので、すぐに逃げることにするわ。

 ……ここは城地下にある牢。

 大昔から使われていない地下牢を、ダスレイン大臣は気に入らない相手を閉じ込める場所として私的に使っていたことは小説の中でも描かれていた。

 なので、それを知っていた私はこんなこともあろうかと、地下牢を下見して、その上で鍵開けの技術を会得することにした。

 この牢の鍵だって、実際に開けに来たことはある。

 現地確認して、この辺りにほぼひと気がないことだって把握済みだ。

 私は鍵穴を確認して、工具をその中に突っ込み、かちゃかちゃと音を鳴らして鍵開けを開始した。

 ……鍵の構造というのは思いのほか楽しくて、私は鍵を制作する専門の職人のもとに弟子入りし、最近は彼の工房に入り浸ってしまっていた。

 かのマリーアントワネットの夫、真面目な性格の持ち主フランス国王ルイ16世も錠前の作成に嵌まってしまったと聞いたことがあったけれど、あれが面白くて夢中になってしまう気持ちが私にもわかるわ。

 鍵開けの技術は、学び始めは非常に難しい。