ここに見張り役がこの兵士一人しか居ないのは、わかりやすい罪状のない私を捕らえていることを知られるのを恐れているのだろう。
これまで……近しい存在に情報漏洩されているのかと思うくらいに、物事が上手くいかないものね……なんだか、ごめんなさいね。
ダスレイン大臣の想定出来ない存在、私さえ居なければ、悪巧みはある程度は成功していたというのに。
ダスレイン大臣が足音高らかに去った後、一人の兵士は牢の中の私を、じっと見ていた。
けれど、尿意をもようしたのか、それとも食事の時間なのか、その場を動くことにしたようだった。
だって、私は非力な伯爵令嬢で、鍵が掛かった牢の中。
そうよね。少しの時間くらい、目を離したとしても、何が変わるなんて誰も思わないわよね。
私は彼が扉を閉めて姿を消したその瞬間に、左足の靴を脱いで靴底を剥がし、そこにあった小さな工具を取り出して、もう一度靴底を戻した。
よし……まだ戻って来ないわね。
さきほど出て行った兵士がすぐに帰って来ないことを確認して、私は鉄格子の扉へと近づいた。
これまで……近しい存在に情報漏洩されているのかと思うくらいに、物事が上手くいかないものね……なんだか、ごめんなさいね。
ダスレイン大臣の想定出来ない存在、私さえ居なければ、悪巧みはある程度は成功していたというのに。
ダスレイン大臣が足音高らかに去った後、一人の兵士は牢の中の私を、じっと見ていた。
けれど、尿意をもようしたのか、それとも食事の時間なのか、その場を動くことにしたようだった。
だって、私は非力な伯爵令嬢で、鍵が掛かった牢の中。
そうよね。少しの時間くらい、目を離したとしても、何が変わるなんて誰も思わないわよね。
私は彼が扉を閉めて姿を消したその瞬間に、左足の靴を脱いで靴底を剥がし、そこにあった小さな工具を取り出して、もう一度靴底を戻した。
よし……まだ戻って来ないわね。
さきほど出て行った兵士がすぐに帰って来ないことを確認して、私は鉄格子の扉へと近づいた。



