【コミカライズ】仕事の出来る悪役令嬢、薄幸王子様を幸せにアップグレードしておきました。

 だから、今彼は自ら底なし沼に落ちるような……そんな馬鹿な真似を仕出かしてしまっていることになる。

「ええい!! うるさい……うるさいうるさい!! お前が!! 俺の思い通りに動いてないから!! 俺の言う通りに動いていれば……許さない!!」

 ……あ。

 これは、とても話が出来る状態ではないわ。

 私は彼と会話することを、早々に諦めた。とにかく、私が何を言っても刺激になり、更に興奮してしまうだろう。

 黙っているのが一番だわ。

 牢の隅にあった椅子に座ると、静かに時が過ぎ去るのを待つことにした。

 ダスレイン大臣は怒ってしまうと暴れてしまうのは、自分でも止められないのかもしれない。

 悔しそうに地団駄を踏んで、廊下にある物を壊してまわっていた。

 けれど……これって、そもそも悪巧みしなければ、失敗もしないし、怒るような出来事もないから。

 ……全部が全部、彼の自業自得よ。