『人妻の過去』

5週目ならまだ中絶するのに時間がある。


ホッとした気持ちと…


正常な妊娠。子宮外妊娠とかじゃなくて、赤ちゃんは生まれたくてアタシの子宮にくっついて頑張っているんだ…


それを無理矢理剥がさなくちゃいけない。


複雑な気持ちになった…


かと言って


絶対に賛成しない仁君と別れて


1人で産む決心もつかなかったし


赤ちゃんを可愛いと思う気持ちも


…なかった。


アタシは今の生活を手放す勇気がなかった。


先生は


『どうしても堕胎しますか?』と聞いてきた。


アタシは


『はい。』


そう答えた…。


医者;わかりました…では、手術のリスク、方法、費用などについての説明を看護師が行いますので…〜



アタシは看護師に案内されてまた別の部屋に移った。


さっきまでアタシの手元にあった


赤ちゃんの写真は


カルテにのりで貼付けられた。


…仁君にも見せたかったな。


ちゃんと赤ちゃんはお腹にいたよ?


仁君とアタシの赤ちゃんだよ…


傷つけられるアタシの身体と


殺される赤ちゃんの


痛み…


悲しみ…


それを感じて欲しかったから。