2度目の初恋はセレナーデのように


 〇教室・放課後
 気もそぞろな様子の歌音、顔を(おお)って突っ伏している。


 歌音(全然集中できなかった……!)


 一限の授業からミスを連発し落ち込んでいる。


 歌音「はあ……」

 歌音(こんなんじゃ入試どころじゃないよなぁ……)


 朝、虎と話していたように、もう大学入試が本格的に始まってしまう時期。

 けれど歌音は悩みがあると集中できない人間だった。


 歌音(……気になる問題(陽くんのこと)を早く解決しないといけないんだけど)


 歌音「そう簡単に割り切れるほど器用(きよう)じゃないのよね。……ん?」


 本日何度目かのため息を零すと、教室の入口が騒がしいことに気が付く。


 見ればとんでもない美少女が誰かを探しているようで、バチリと目が合った。


 歌音(んん?)


 少女が何事かを告げると、クラスメイトの男子が慌てて歌音の方へやってくる。


 男子生徒1「見雪! お呼びだぞ!!」

 歌音「え、私!? 誰?」
 男子生徒1「知らないのか!? 明空(あけぞら)のマドンナ、絵画専攻2年の柏木(かしわぎ)さんだよ! どこで知り合ったんだ!?」


 鼻息の荒い男子に引き気味になりつつ首を(かし)げる歌音。

 柏木さんとやらとは面識(めんしき)がなかった。


 男子生徒1「とにかく早くいってやれって!」


 男子に急かされて教室から出る。


 待っていた美少女は間近で見ると余計にきれいで、可愛らしい女の子然とした雰囲気(ふんいき)の子だった。


 柏木「……あなたが、見雪(みゆき)歌音さん?」
 歌音「え、あ、はい。ええと」

 柏木「柏木みりあよ。絵画専攻2年の。とりあえず、ここじゃ何だからついてきてくれないかしら」


 柏木みりあ:柔らかいピンクブラウンの長い髪を器用に編み込んだ可愛らしい女の子。赤よりのピンクの目は大きく、じっと見られると同性であっても落ち着かなくなるほど。


 みりあはそう言うと歌音の腕を引いて歩いていく。