2度目の初恋はセレナーデのように



 〇会場のホール
 気持ちを落ち着けるためにトイレに行った歌音は、手を拭いて会場に戻ろうとしていた。


 その歌音に忍び寄る影が一つ。



 歌音「!?」


 気が付いたらバッグを盗られていた。


 歌音「ちょ! ちょっと待って!」


 走り去った盗人はホールから出ていってしまう。


 歌音(あの中には財布もスマホも入ってるのに!)


 慌てて追う歌音。

 けれど盗人との距離は縮まらない。



 犯人はしばらく走ると建物の陰に隠れてしまった。


 歌音(ウソでしょ!?)


 見失ってしまうと困る。


 歌音は必死に走って角を曲がったが、すでに犯人は見当たらない。

 と、少し離れた物置のようなところに見覚えのあるバッグが放り捨てられているのを見つけた。


 あわてて駆け寄ると、中身は散乱(なかみ)しており、何がどこに行ったか確認しなくてはいけない。

 幸いにも、すぐに財布は見つかった。次に携帯を探すが。


 歌音「よかった……。スマホは……」




 ――ガコン


 歌音「!?」


 安心したのもつかの間。

 歌音が入った物置のような建物の扉が、音を立てて閉められた。



 歌音「ちょっと!? 開けて! ねえ!!」



 慌てて扉を叩くが、鍵が掛けられたのか扉はびくともしない。



 真っ暗で狭い物置に……



 歌音「……閉じ込められた!?」




 (顔面蒼白の歌音。この時には既にイヤリングが片方なくなっている)