(時間経過)
歌音とみりあはきゃっきゃっとしながら話に花を咲かせていた。
みりあ「陽暁は~、ふんわり系の服装とか化粧が好みみたい。あとは後ろを健気について行ったり、服の裾をつかんだり、そういうさりげない仕草が好きっぽいわよ。庇護欲をそそる感じ? だから目指すべきは”小鳥系女子”!」
歌音「そうなんだ。今までずっと大人っぽいメイクしかしてこなかったや」
みりあ「化粧の仕方、教えるわよ」
歌音「ほんと? 助かる~!」
歌音「お兄ちゃんは虫が苦手だから、美術館行くならそういう展示系は避けた方がいいかも。逆に可愛いモノとかきれいなモノが好きだから、宝石展とかゆるキャラとかのお店とか行った方がいいよ」
みりあ「ギャップ萌え!! かわいい~~~!」
歌音「でも注意。当の本人は可愛いモノ好きと知られたくないから、たまたまを装ってね」
みりあ「了~解!」
手を取り合って盛り上がる二人。
みりあ「あ、そういえば、陽暁からはもう聞いた? 選抜の話」
みりあはふと思い出したように口にした。
歌音「選抜?」
みりあ「あら、その反応はまだなのね。なんでも、国際コンクールの出場権のある試験がクリスマス前にあるらしくて、生徒たちの間ではその試験を選抜って呼んでるらしいの」
歌音「国際コンクール!?」
みりあ「ええ。たしか来年の3月だったかしら? それにでられたら留学のチャンスをもらえる、みたいなジンクスもあるみたいね」
歌音「……留学」
留学というワードにドキリする歌音。
ほんの少しの反応だったので、みりあは気が付かずにしゃべり続けた。
けれどもう歌音はみりあの話をほとんど聞き流してしまうほど考え込んでしまう。
歌音(そうだった。留学の問題もあるんだった……)
付き合う前から気がかりだったことだ。
留学ともなれば年単位で会えなくなる可能性が高い。
それに、果たして自分は耐えられるのだろうか?
歌音「……」
みりあ「おーい、聞いてる?」
歌音「あっごめん。なんだった?」
いろんな思いが頭の中を支配してぼうっとしていた歌音ははっと顔を上げた。
みりあ「もう、聞いていなかったのね。まあいいわ。それじゃあわたしはそろそろいくわね」
歌音「あ、うん。またね」
手を振り去っていくみりあを見送る。
歌音(……私も帰ろう)
なんだか重くなってしまった腰を上げて、歌音も帰路についた。



