(展示を見て回る二人のダイジェストで時間経過)
・童話の世界をガラスで作り上げた展示場で写真撮影
・手をつないだまま飾られたステンドグラス風の作品を指さしているところ
・ネックレスやアクセサリーが並ぶ小物展示を見ているところ
・おちょこやグラスのブースで見比べているところ
など
(ダイジェスト終了)
〇近くのカフェ
館内を楽しみつくした二人は近くのカフェで休憩を取っていた。
歌音「はあ~! 楽しかった~。やっぱりきれいだったね!」
陽暁「楽しめたみたいでなによりだよ。なんだかんだ一日使い切っちゃったし」
歌音「ね。時間経つの早すぎだよ~!」
言われて気が付くと外はもう薄暗くなっていた。
午前からずっといたのに飽きなかったことに感心する。
そしてふと今日の初めの方の事を思い出した。
歌音「そう言えばお兄ちゃん大丈夫かな」
陽暁「うーん。奏くんは分別ある人だから大丈夫だと思うけど……。問題はみりあの方だろうね」
歌音「あー……」
みりあが奏の服を脱がして(奏が必死に阻止していたけど)デッサンしようとしていたところを思い出し、思わず苦笑い。
歌音(さすがに公的な場所でデッサンはやばいよ……。しかも服を脱がそうとするのはね……)
社会の常識がまだそこまで伴っていない女子高生でもそれはわかる。
歌音「……お兄ちゃん、罪に問われたりする?」
陽暁「さあ……。でも襲われた方だからそれは理不尽すぎる気がするけど」
歌音「警察から連絡来たらどうしようかな」
陽暁「僕の方にもそういう連絡きそうで嫌だな……」
二人で苦笑い。
陽暁「まあでも。奏くんには悪いけど、僕は歌音と二人で回れてよかったな。せっかくのデートなのに奏くんがいたら、ちょっとね」
歌音「それは……まあ。でも珍しいね、陽くんお兄ちゃんとは仲悪くないと思ってたけど」
陽暁「そりゃあデートは二人きりの方がいいから。奏くんは僕よりも長くノンちゃんといられるんだしさ……」
歌音「!」
飲んでいた紅茶を危うく吹きそうになった。
言った張本人は気が付いていないのかふしぎそうに首をかしげている。
歌音(もしかして陽くん……)
歌音「……それってお兄ちゃんにやきもちを焼いていたってこと?」
陽暁「!」
指摘されて気が付いたようで、陽暁の顔に赤みがさした。どうやら予想が的中したらしい。
陽暁はやがて隠すのはムリだと開き直った。
陽暁「……そうだよ。悪い?」
陽暁は少しだけぶすっとした顔になった。
どうやら身内にも歌音の関心を奪われたくないようだ。
歌音(かわっ、可愛い!)
庇護欲が掻き立てられた歌音はにやけて陽暁の頭を撫でた。
歌音「ううん。悪くないよ。でも安心して? 私はいつも陽くんのことばっかり考えてるんだから」
陽暁「……ん。じゃあもうしばらく撫でていてよ」
歌音「あはは。いいよ」
珍しく甘えたな陽暁は無抵抗に頭を撫でられ続けている。
いつもはお兄さん然とした陽暁だが、こういう一面も可愛らしくていいと思う歌音だった。



