2度目の初恋はセレナーデのように





 陽暁「――きっとあの言葉がなかったら『僕』は消えていたと思う。君が僕を守ってくれたんだ。君だけだった。僕を……久遠(くおん)陽暁をずっと見ていてくれたのは」


 陽暁の独白(どくはく)に、歌音は胸がいっぱいになった。



 歌音(私、陽くんの役に立てていたんだ……)


 昔から陽暁には助けてもらってばかりだったから、自分は陽暁の助けにはなれていないと思っていた。


 自分の周りには才能のある人ばかりで、自分には才能がないからいつもその背を追ってばかりだったから。


 だから他でもない陽暁のことを、その心の救いになっていたことが嬉しい。



 歌音「……そっかぁ。私、支えになれていたんだね。よかった」


 歌音は抱きしめられたまま顔だけを動かして陽暁の顔を見上げた。

 至近距離で目が合う。迷子の子供のような目だ。


 歌音「ねえ陽くん。陽くんは私のおかげって言ってくれるけど、私こそ、陽くんのおかげで頑張ってこれたんだよ。辛いことがあっても、好きなことに自信が持てなくなっても、陽くんが頑張っていると思えば立ち上がれたの。だからね……」


 歌音はひときわ優しくほほえんだ。



 歌音「一緒にいよう? どれだけ傷つこうとも一緒にいたいと思っているのはね、陽くんだけじゃないんだよ。私は――陽くんのことが好きだから……っ」


 そう告げた瞬間、口をふさがれた。


 角度を変え、どんどん深くなっていく口づけ。

 余裕のない表情に、荒々しいほどのキスだった。


 それはどれほど自分が陽暁に求められていた存在なのかを知らせてくれる。


 歌音(大人の余裕を持った陽くんしか知らなかったけど……こんなに私を求めてくれていたんだ)

 歌音(でもそれは私も……)


 歌音は陽暁に応えるように目を閉じた。


 夜景をバックに二人のシルエットが浮かび上がった。