2度目の初恋はセレナーデのように


 〇帰り道
 いつもの帰り道を一人で歩いているところ、それを追うように足音が聞こえ振り返る。


 陽暁「ノンちゃん!」
 歌音「陽くん?」


 走ってきたのは陽暁だった。
 息を切らすほど急いできたようだ。


 歌音「どうしたの陽くん。そんなに急いで」

 陽暁「ああ、いや。せっかく久しぶりに会えたけどなかなか話せなかったからさ、一緒に帰れないかなって思って」
 歌音「え!? それは嬉しいけど……」


 思ってもみなかった(さそ)いに喜ぶ歌音だったが、女子に(かこ)まれていたのを思いだす。


 歌音「でも大丈夫なの? 話したがっている子、多そうだったけど」

 陽暁「皆には悪いけど、僕はノンちゃんと話したかったし」
 歌音「そ、そうなんだ」


 にこりとほほえまれ胸が高鳴る。

 昔から陽暁はストレートな物言いで、度々(たびたび)ドキドキさせられていた。


 歌音(けど陽くんに他意(たい)はないんだよね)


 陽暁にとって自分はお隣さんで、幼なじみだから他の子よりも積もる話があるってだけだ。と早くなる心臓を抑える。


 歌音(というより……)


 ちらりと陽暁を見る。



 陽暁「日も短くなってきたから一人で帰るのは危ないよ。だから一緒に帰ろうね」


 陽暁の視線はまるで小さい子を見守るようなもので、思わずジト目になる。


 歌音「……あのね陽くん、私もうすぐ18なんだよ? いつまでも子供扱いはやめてよ!」

 陽暁「でもノンちゃん可愛いから心配なんだよね。ほら、小さいころにも一人で帰るって言って迷子になりかけていたし」
 歌音「小さいころはね!? もう大丈夫だよ、さすがに!」

 陽暁「そう?」


 くすくすと笑う陽暁に頭を抱える歌音。

 どうにも陽暁の中の自分は、小さいころのまま時間が止まっている気がしてならない。


 歌音(妹みたいに思われてそう……)


 小さいころから一緒だから関係を変えにくいのは仕方がないと思うけれど、まったく女として見られていなさそうでため息がこぼれた。