2度目の初恋はセレナーデのように


 〇夜景の見える高台のお城
 お城は紅葉を背景にライトアップされており、下に広がる街の灯りは星空のように輝いている。

 その高台に、歌音は手を引かれてやってきた。



 歌音(キレイ……でも)


 先ほどのことが頭の中から消えてくれず、モヤっとした心持だった。


 歌音(あの場は陽くんが来たらすぐに収まった(?)けど……)


 結局なんだったのだろうか。と考えるけれど分からない。

 さっきからずっとその繰り返しだった。


 ちらりと陽暁を見上げる。


 歌音(陽くん、ずっと黙ってる……)


 陽暁も何事かを考えているようで、ずっと無言のまま前を歩いていた。

 いいかげん気まずくなり、歌音はごまかすように口を開いた。


 歌音「び、びっくりしたね、さっきの」
 陽暁「……そうだね」

 歌音「渡辺さんなんか慌てていたけど、陽くんなにを……」


 言ったの? と聞こうとしたが、その前に陽暁が言葉をかぶせた。


 陽暁「……ごめんねノンちゃん。巻き込んでしまって」


 唐突(とうとつ)に謝る陽暁に困惑(こんわく)する歌音だったが、陽暁の顔を見て息をのんだ。



 歌音(――どうして、そんな泣きそうな顔をしているの?)



 何が起こっているのか分からずに陽暁に手を伸ばしかける歌音だったが、その手が陽暁に届くことはなかった。




 陽暁「……僕は、歌音ともう関わらない方がいいのかもしれない」




 歌音「………………え」



 秋の夜の冷たさを含んだ風が、二人の間を通り抜けた。