2度目の初恋はセレナーデのように


 〇店の奥
 たくさんの着物を前にどれを選んでよいのか分からないという顔の歌音。


 店員1「お客様~、どのような(がら)が好きとかございますか?」
 歌音「え!? えっと」

 店員2「華奢(きゃしゃ)でいらっしゃるのでどんな柄物でもお似合いかと~」
 歌音「そ、そうですかね? えへへ」

 店員1「ヘアセットはどうなさいます? 人気なのはアップスタイルですね。うなじがきれいに見えるので、特にデートでお越しの方はそちらをお選びになる方が多いですよ」
 歌音「あ、じゃあそれで」


 褒められながら着物を選び、着付けを受けていく。


 店員2「完成でございます~! まあまあよくお似合いで!」


 やり切った顔の店員。


 (全身コーデをされた歌音を大きく見せるコマ)


 ・黄色の生地に赤やオレンジなどの花柄の華やかな着物+薄でのケープ

 ・巻髪アップ+編み込みに揺れるかんざし

 ・メイクもいつもの大人っぽいモノと違って柔らかめ



 歌音「そ、そうですか? なんだかいつもと違って落ちつかなくて」


 歌音は前髪を触りつつ照れ顔になる。


 店員1「何をおっしゃいます! これは彼氏様もぐっとなること間違いなしですよ!」
 歌音「え、へへへ」

 店員2「ちょうど彼氏様もお召し替えが終わったみたいですので表にどうぞ~」


 連れられて表に戻るとソファに座っていた陽暁がこちらに気が付き振り返る。


 陽暁「ノンちゃん、終わっ、た……」
 歌音「!」


 振り返った陽暁は不自然に止まったが、歌音は陽暁の着物バージョンにそれどころではない。


 歌音(う、うわ~~~~!?)


 (陽暁の着物姿)

 ・薄いグレーの着物に羽織り

 ・髪はかき上げ風にセットされている


 歌音(洋装は演奏会とかで見慣れていたけど、和装の破壊力(はかいりょく)よ……!)


 後光(ごこう)のさす陽暁を直視できずに手で顔を覆う。と陽暁が近づいた気配がした。


 陽暁「……よく似合ってるね。もっとよく顔をみせて?」


 ふわりと頬にふれた陽暁に上を向かされる。

 その際に耳に何かが付けられた気がした。


 手が離れたので見てみると、歌音の耳には花と真珠をモチーフにしたイヤリングがついていた。

 動くたびにしゃらりと揺れる。


 歌音「は、陽くん、これって……」
 陽暁「うん誕生日プレゼント。二人のときに渡したくて。音楽系のものは皆渡すだろうし、迷ったんだけどね。……やっぱりこれにしてよかった。可愛いよ」


 歌音「うぐぅ」


 ニコリと小首を傾げてほほえむ陽暁に被弾(ひだん)する歌音。
 後ろにいた店員さん達も被弾していた。


 歌音(そういえば朝は渡されなかったけど、この為だったの……!?)


 だとしたら一体どこまで計算されているのだろう。


 歌音「っ、は、陽くんも……格好いい、よ」


 (てのひら)の上で踊っているようで悔しくなり精いっぱいの仕返しをしたが、陽暁は照れくさそうに笑った。


 陽暁「そう? ノンちゃんにそう思ってもらえたなら着替えたかいがあったね」

 歌音「うぐっ」


 見事なカウンターを食らってしまった。


 歌音(こ、これ! 今日一日もつかなぁ!?)


 早くも息絶え絶えな歌音だったが、すっと目の前に手を差し出される。


 陽暁「じゃあ行こうか」
 歌音「う、は、はい。……え!?」


 差し出された手に自分の手を重ねると、当然のように恋人繋ぎにされる。

 驚いて陽暁を見上げるとイタズラな笑みを浮かべていた。


 陽暁「……ダメ?」

 歌音「だっ……だめじゃ、ないです」
 陽暁「ふふ、よかった」


 機嫌(きげん)よく歩く陽暁と真っ赤な顔のままついていくしかできない歌音。
 こうして城下町デートが始まった。


 (城下町デートのダイジェスト)


 ・食べ歩きマップを見ている二人

 ・店頭に飾られたマスコットを見ているところ

 ・人力車に乗ってテンションMaxの歌音

 ・和小物雑貨の店を眺めている二人

 ・美味しそうなお団子を満喫しているところ  など


 (ダイジェスト終了)