―――
――
―
京がいなくなって胸をなでおろす歌音だったが、すぐさま陽暁に向かい合わせられる。
陽暁「大丈夫!? なにもされなかった!?」
歌音「え、う、うん。大丈夫だよ」
顔を覗きこんでくる陽暁の顔は焦燥感が滲んでいて、うっすら額に汗も滲んでいた。
必死に走ってきたらしい。
陽暁は歌音を隅々まで見渡し、なにもされていないと分かると脱力した。
陽暁「……はあ。よかった」
歌音「!」
そのまま陽暁は歌音を抱き寄せ、首元に顔を寄せる。
一瞬で真っ赤になる歌音だったが
歌音(陽くんの匂いだ……)
陽暁の髪の良い香りに包まれると安心して、先ほどまでの恐怖が消えてしまった。
歌音も陽暁の背に手を回す。
陽暁「……あいつになにを言われたの?」
歌音「え?」
陽暁「口説いていたって言ってたけど」
歌音「ああ……」
先ほど言われたことを思い出す。
歌音「付き合えないかって」
陽暁「っ!」
歌音「困るっていったんだけど、逃げられなくて」
陽暁「……そっか」
歌音を抱きしめる腕に力がこめられる。
陽暁「今度あいつに会ったら、すぐに僕を呼んで。あいつはいい噂をきかないから」
歌音「え? でも陽くんの友達だって……」
陽暁「友達? まさか。親しくもなければしゃべったこともないよ」
歌音「そ、そうなんだ」
顔を上げ、体を離す陽暁。けれど手だけは繋がれたまま。
陽暁「ノンちゃん、どうか気を付けて。君のことは何があっても僕が守るけど、君は可愛いからよからぬ輩が近づいてくるかもしれない」
歌音「か、かわ……!? そんなこと」
陽暁「あるよ」
そんなことないと言おうとすると強い言葉で遮られる。
陽暁「ノンちゃんは頑張り屋で明るくて、ずっと見ていたいと思うくらい可愛い。少なくとも、僕にとっては」
歌音「!」
陽暁「だから心配だよ。……ううん、違うな。心配は心配だけど、それ以上に他の男が君のそばに寄るのが耐えられないんだ」
歌音「……それ、って」
陽暁は困ったように眉を下げた。
陽暁「……うん。独占欲」
歌音「!」
意味を理解すると途端に赤面する歌音。
陽暁「おかしいでしょ。君のこととなると冷静じゃいられないんだ。少しでも他の男が君の目に映るのが気に入らない。そんなことできるわけないって頭では分かっているけれど、どうしても嫌なんだ。……こんな狭量な僕を、君は笑う?」
苦しそうにゆがめられた顔に、歌音の心臓は大きく脈打つ。
歌音(陽くん……)
歌音「――ううん。笑う訳ないよ」
歌音は赤い顔のまま、それでも真っ直ぐに陽暁へと言葉を届ける。
歌音「私だって陽くんの気持ち、よくわかるもん」
臨時教師として陽暁が女子に囲まれているところをモヤモヤしながら見ていたことを思いだす。
歌音「だから笑う訳ない」
陽暁「……そっか」
歌音「うん」
しっかりと陽暁の手を握り返し笑う歌音に、陽暁もゆるくほほ笑んだ
陽暁「……ありがとう。そう言ってくれて嬉しいよ」
陽暁はそういうと再び歌音を抱きしめた。
歌音も陽暁の胸に頬を寄せる。
(歌音のモノローグ)
望月さんに触れられた時は怖くて離れたくてたまらなかったけれど、陽くんに触れられると安心してしまう。
私を包んでくれる大きな体も、少し低い体温も、耳元に流れてくる低い声も。
そのすべてが私の心を安らげてくれる。
そう思えるほどに、やっぱり私は陽くんのことが好きだ。
私は何があっても陽くんのそばにいたい。
……もしも留学に行ってしまうとしても、それでも。
―ーだからもう、覚悟を決めた。
私の18歳の誕生日。
彼がもう一度告白してくれると言った日。
その時に、自分の正直な気持ちを伝えよう。
(モノローグ終了)
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京がいなくなって胸をなでおろす歌音だったが、すぐさま陽暁に向かい合わせられる。
陽暁「大丈夫!? なにもされなかった!?」
歌音「え、う、うん。大丈夫だよ」
顔を覗きこんでくる陽暁の顔は焦燥感が滲んでいて、うっすら額に汗も滲んでいた。
必死に走ってきたらしい。
陽暁は歌音を隅々まで見渡し、なにもされていないと分かると脱力した。
陽暁「……はあ。よかった」
歌音「!」
そのまま陽暁は歌音を抱き寄せ、首元に顔を寄せる。
一瞬で真っ赤になる歌音だったが
歌音(陽くんの匂いだ……)
陽暁の髪の良い香りに包まれると安心して、先ほどまでの恐怖が消えてしまった。
歌音も陽暁の背に手を回す。
陽暁「……あいつになにを言われたの?」
歌音「え?」
陽暁「口説いていたって言ってたけど」
歌音「ああ……」
先ほど言われたことを思い出す。
歌音「付き合えないかって」
陽暁「っ!」
歌音「困るっていったんだけど、逃げられなくて」
陽暁「……そっか」
歌音を抱きしめる腕に力がこめられる。
陽暁「今度あいつに会ったら、すぐに僕を呼んで。あいつはいい噂をきかないから」
歌音「え? でも陽くんの友達だって……」
陽暁「友達? まさか。親しくもなければしゃべったこともないよ」
歌音「そ、そうなんだ」
顔を上げ、体を離す陽暁。けれど手だけは繋がれたまま。
陽暁「ノンちゃん、どうか気を付けて。君のことは何があっても僕が守るけど、君は可愛いからよからぬ輩が近づいてくるかもしれない」
歌音「か、かわ……!? そんなこと」
陽暁「あるよ」
そんなことないと言おうとすると強い言葉で遮られる。
陽暁「ノンちゃんは頑張り屋で明るくて、ずっと見ていたいと思うくらい可愛い。少なくとも、僕にとっては」
歌音「!」
陽暁「だから心配だよ。……ううん、違うな。心配は心配だけど、それ以上に他の男が君のそばに寄るのが耐えられないんだ」
歌音「……それ、って」
陽暁は困ったように眉を下げた。
陽暁「……うん。独占欲」
歌音「!」
意味を理解すると途端に赤面する歌音。
陽暁「おかしいでしょ。君のこととなると冷静じゃいられないんだ。少しでも他の男が君の目に映るのが気に入らない。そんなことできるわけないって頭では分かっているけれど、どうしても嫌なんだ。……こんな狭量な僕を、君は笑う?」
苦しそうにゆがめられた顔に、歌音の心臓は大きく脈打つ。
歌音(陽くん……)
歌音「――ううん。笑う訳ないよ」
歌音は赤い顔のまま、それでも真っ直ぐに陽暁へと言葉を届ける。
歌音「私だって陽くんの気持ち、よくわかるもん」
臨時教師として陽暁が女子に囲まれているところをモヤモヤしながら見ていたことを思いだす。
歌音「だから笑う訳ない」
陽暁「……そっか」
歌音「うん」
しっかりと陽暁の手を握り返し笑う歌音に、陽暁もゆるくほほ笑んだ
陽暁「……ありがとう。そう言ってくれて嬉しいよ」
陽暁はそういうと再び歌音を抱きしめた。
歌音も陽暁の胸に頬を寄せる。
(歌音のモノローグ)
望月さんに触れられた時は怖くて離れたくてたまらなかったけれど、陽くんに触れられると安心してしまう。
私を包んでくれる大きな体も、少し低い体温も、耳元に流れてくる低い声も。
そのすべてが私の心を安らげてくれる。
そう思えるほどに、やっぱり私は陽くんのことが好きだ。
私は何があっても陽くんのそばにいたい。
……もしも留学に行ってしまうとしても、それでも。
―ーだからもう、覚悟を決めた。
私の18歳の誕生日。
彼がもう一度告白してくれると言った日。
その時に、自分の正直な気持ちを伝えよう。
(モノローグ終了)



