2度目の初恋はセレナーデのように


 〇音大・校門
 音大のキャンパスをキラキラした目で見上げる歌音。
 キャンパスのあちこちからは演奏が聞こえてきていた。


 歌音「あっちからはショパンの『幻想曲』、あっちからはベートーヴェンの『運命』。……やっぱり音大っていろんな音がたくさんあふれてる……!」
 陽暁「あはは。そりゃあ音大だからね。いろんな生徒がそれぞれの楽器を好きに弾いているよ」


 ワクワクとした様子の歌音は音のする方する方に興味が惹かれている状態で、興奮(こうふん)しっぱなしだ。


 陽暁「あっちが学生寮、であっちが教室棟。その向こうが今日演奏会が開かれるホールだよ。まだ時間があるし、ゆっくり見て回ろうね。じゃあ行こうか」
 歌音「はーい!」


 (ということで校内案内をダイジェスト)

 ・円形の建物
 ・食堂や一般開放されている場所
 ・レッスン棟

 などを回っていく

 (ダイジェスト終了)


 陽暁「それで、あっちの建物が――」



 歌音(ん……?)


 歌音はふと周りの視線が集まっているのに気が付く。


 ちらりと見るとキャンパスの女子が陽暁に熱い視線を送っていた。


 と同時に歌音もみられており、見定めるような視線が突き刺さる。



 歌音(こ、これがみりあちゃんの言っていた……)


 本当に存在しているのかとショックを受ける歌音。


 比べられているというか、嫉妬(しっと)のこもった視線というか。
 今まで受けたことのない視線に苦笑いが出てしまう。


 歌音(こうもあからさまなんだ……)


 そのときふと視界に影が落ちたのに気が付く。

 見上げれば歌音を守るように陽暁が立っていた。


 歌音「陽くん?」


 陽暁は敵意の視線の方へ顔を向けており、歌音からは顔が見えない状態。


 【陽暁は歌音に敵意のこもった視線を投げかけていた女子をじろりと睨んでいる】

 【その視線は冷たく、先ほどまでニコニコふわふわしていた人のモノではない】

 【二人を見ていたモブたちは青ざめてそそくさと逃げて行った】



 少しして歌音の方へ顔を戻した陽暁と目が合うとニコリとほほえまれる。


 陽暁「ノンちゃん、次はお待ちかねの音楽ホールだよ。行こうか」
 歌音「え? あ、うん」



 歌音(……陽くん、もしかして視線から守ってくれたの?)


 今までも陽暁は歌音を守ってきたというみりあの言葉を思い出す。


 嬉しいような、恥ずかしいような。

 何と形容すればいいかわからないが、意識してしまうと口元が緩んでしまうのは止められなかった。