2度目の初恋はセレナーデのように



 〇歌音を見送った後の二人(歌音の知らない場面)


 みりあ「……」
 陽暁「……」


 みりあはちらりと陽暁を見上げる。

 歌音がいたときとは別人かと思う程スンっとした顔だった。


 みりあ「さっきまでのへらっとした顔はどうしたのよ」
 陽暁「お前に、必要?」

 みりあ「うわ……」


 ピシャリと言い切る陽暁に、引き気味のみりあ。


 みりあ「あんた、そう言うところよ。余計に敵を作っているのは。自嘲(じちょう)ぐらいしなさいよ」
 陽暁「言わせたい奴には言わせておけばいいさ」

 みりあ「それであの子に害があったらどうするのよ」
 陽暁「歌音に、害?」


 みりあの言葉にピクリと反応する陽暁。



 陽暁「そんなことさせるわけないだろう? でも仮にもしそんなことが起こったとしたら……」



 みりあに向き合った陽暁の顔にはどろりとした笑みが浮かんでいた。
 それだけで何をするつもりなのか把握したみりあ、ため息を吐く。


 みりあ「ゆするのは勝手だけど、前みたいに急に情報を集めろって言わないでよね」


 陽暁「『ゆする』なんて人聞きの悪い。僕は少し『お話し』しただけだよ」
 みりあ「同じことでしょ!」


 ニコリと笑う陽暁に、みりあは眉を寄せた。


 みりあ「……こんなのに執着されるなんて、かわいそうな子」



 そうつぶやいたみりあは歌音の去った方を見つめていた。