「実はね、僕。病気で余命1年って言われてるんだ。」

えっと...?

今日した何かよく分からない胸騒ぎはそれだったんだ。

「そう、なんだ」

お母さんと同じじゃん。

ねぇ。なんでみんな、私からいなくなるの。

なんで。

奏太くんがいなきゃ、私何にも出来ないのに。

「ごめん。黙ってて。お母さんの件もあったし、言わないほうが良いかなって思ってた。」

「だけど、言わなきゃ、蘭は全部話してくれたのに、何にも出来ないかなって思って。」

「言って、くれて、ありがとう」

涙がこぼれ落ちそうになってしまった。

奏太くんの方が涙声なのに。

奏太くんの方が苦しいのに。

奏太くんの方が頑張ってるのに。

ここで、泣いちゃだめだ。

「ご、めん」

「今日は、切るね。」

「ごめんね」



あれから私は泣き続けた。

ビデオ通話しようって言うからメイクも頑張ったのに。

可愛くなったのに。



                      世界の色が真っ暗になった気がした。



・・・もしかして。

私、奏太くんの事、好きになってるのかな。

好きになっても、いずれ別れはあるのに。

そう自分を説得させようとしても、「好き」と言う気持ちが溢れかえって、止められなかった。