「お母さん、手術するの。1ヶ月後に」
え?
困惑で声が出ない。
「死んじゃうかもしれないの」
なぜかお母さんは優しく目を細めて笑う。少し寂しそうに。
「えっと...」
「実は少し前から難しい病気かもしれないって言われてたの」
「ごめんね。内緒にしてて」
「お母さん、大丈夫だよね?これからも生きてくれるよね?」
ねぇ。お母さん。「お母さんは大丈夫よ」が口癖だったくせに。
何にも大丈夫じゃない。
「分からないけど、大丈夫よ。お母さんは大丈夫。心配せせてごめんね」
また強がる。もう...
私は大粒の涙を嗚咽と共に流し続ける。
「本当に、泣き虫なんだから。ねぇ」
うっすらと涙声になっているお母さん。お母さんも泣き虫なくせに。
「私のために泣いてくれてありがとうね」
お母さんと一緒に涙が枯れるまで、ずっと泣いた。
それでも私はなぜか病院にいたかったから、談話室で泣きながら、絵を描いていた。
