「蘭なんて、大嫌いなの！！」

脳裏に浮かぶ美桜の声。ついさっきのことなに、すごい前のことに感じる。

はぁ、とため息をついて見る。なぜか余計に苦しくなる。

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私と美桜は親友だった。でも美桜はいつも女子の女王様、杏にいじめられていた。

それでも私たちはいつも一緒だった。

そうしたら、杏に目を付けられてしまった。

きっと美桜はそれでも仲良くしてくれる、はずだった。・・・そう、はずだった。

いつからか美桜は私に冷たくなっていた。

話しかけても、そこにはもう、以前の優しい美桜はいなかった。

そんな時、杏に呼び止められた。

「ねぇねぇ、これ聞いてよ〜」

とっさにわたしは身構えた

杏がスマホを取り出す。

聞いてしまった。聞こえてしまった。

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　「蘭なんて、大嫌いなの！！」

はっと息をのむ。

身構えたはずなのに、聞こえないふりをするつもりだったのに。聞こえてしまった。

目の中にある滴が垂れないように、立つだけで精一杯だった。

誰からかの小さなくすくすという笑い声が周りからどんどん聞こえてくる。

私は、走る。逃げる.

美桜とすれ違った。

前はすれ違うたびに笑って、「お久〜」なんて言ったなぁ。

でも。今は何も言わずに冷たい目で見てくるだけ。

だけど、少し何か言いかけたような顔をした___気、がした。

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さっきのことを振り返る。なぜか、涙は出なかった。

その時、スマホがブルブルと震えた。

病気で入院中の母からの連絡だった。

「話があるから病院に来て」

と言うことだった。

なんだろう。なぜか胸騒ぎがしてたまらない。

予鈴がなる。

もうホームルーム終わったのか。

みんなの騒がしさが廊下に響き渡る。

「一緒に帰ろ〜」

「このプリかわよくね？」

走って教室に入る。

冷たい視線が私に襲いかかる。

だけど、何も気にならず、ただただお母さんの事だけが心配だった。

足早にバックをとって、学校から出る。

校門の前で大きく息を吸う。

気持ち良い。

早く病院へ行かなければ。