余裕の無い奥田さんは華ちゃんを甘やかす

気まずい!知らんぷりして本に集中……するが、明らかにちらちらと視線を感じる!ここは、挨拶しておくべきか?チラリと横を見るといつもの爽やかスマイルと目が合った!

「こんにちは。」

「フッ。こんにちは!」
本当に、イケメン!顔だけは!

「…いつもありがとうございます?」

「こちらこそいつもありがとう。ここにはよく来るの?」

「はい。バイト無い日は本を読みに…」

「僕もよく来るんだけど、初めて会ったね。」

「いつもは、もう少し早い時間に来るので。」

「もう少し早い時間ね…あの、名前教えてもらえる?僕は奥田浩介(おくだこうすけ)です。」
知ってますとも、ケータイ番号まで。

「柴崎です。」

「うん、知ってる。下の名前はなんて言うの?」

「華です。」

「華ちゃんね!
ーーーブーブーブーーーー
あ、ケータイ鳴ってるよ!」

「あ、ありがとうございます。」

届いた通知を見始めると、隣では難しそうな分厚い資料を見ながらすごい速さでパソコン打に始めた仕事モードのカードマン。
いつもと印象が違って、横目でチラチラ見てしまった。