――チリリリン
ウザったらしい目覚ましの音を聞き、目を擦りながら身体を起こす。
「はぁ……」
溜息を洩らしながらも、布団を乱雑に畳み、下の階へ向かう。
「お、風夏。自分で起きたんや。偉いなぁ、おはよう。」
ドアを開くと、同居人の冬雪がキッチンで朝ご飯を作っていた。なんて失礼な、私だって一人で起きられるわ。――声には出さずにそう考える。
「ん、おはよ、雪。今日も美味そ。」
愛猫のラテを抱き締めながら、雪の手元を見ると、ふ、と笑い声を零す。雪も同じ様に笑った。
「んは、サンキュー。さ、食べようぜ。」
キッチンから出てきたのは雪だけでなく、もう一匹の愛猫、シャーロックもだった。
うちは父母が居ない。私の幼い頃に駆け落ちしたらしい。それまで東京で二人と暮らしていた私は、親族の間でタライ回しされた結果、九州で一人暮らししていた従兄弟の冬雪と暮らすことになった。同居し始めの頃は、猫のように唸っていたらしいけど、冬雪の優しさに心開いた。私は、親しみを込めて、彼を「雪」と呼んでいる。
「ご馳走様でした」
二人で手を合わせ、食器を片付ける。
「私、洗っとくよ。雪、時間ヤバいでしょ?」
パジャマ姿の雪を見て、そう声をかける。
「マジ?スマン、ありがとうな」
「全然、感謝するのはこっちだからね」
ドタドタと音を立てて、自身の部屋に戻っていく。その背中を見つめていた。……ヤバい、時間無いんだった。そう思い、手を動かす。
「……よし、いってきまーす」
既に愛猫たちしか居ない家に、挨拶をする。鍵が閉まっているかを確認し、カバンを掛け直した。
今日は課題を終わらせなきゃ帰れない、と。普段は社長出勤ならぬ、校長出席の私も、今回ばかりは朝早く登校しなければならないと考えた。偉い。
いつもと変わらない道を歩いて行く。
ウザったらしい目覚ましの音を聞き、目を擦りながら身体を起こす。
「はぁ……」
溜息を洩らしながらも、布団を乱雑に畳み、下の階へ向かう。
「お、風夏。自分で起きたんや。偉いなぁ、おはよう。」
ドアを開くと、同居人の冬雪がキッチンで朝ご飯を作っていた。なんて失礼な、私だって一人で起きられるわ。――声には出さずにそう考える。
「ん、おはよ、雪。今日も美味そ。」
愛猫のラテを抱き締めながら、雪の手元を見ると、ふ、と笑い声を零す。雪も同じ様に笑った。
「んは、サンキュー。さ、食べようぜ。」
キッチンから出てきたのは雪だけでなく、もう一匹の愛猫、シャーロックもだった。
うちは父母が居ない。私の幼い頃に駆け落ちしたらしい。それまで東京で二人と暮らしていた私は、親族の間でタライ回しされた結果、九州で一人暮らししていた従兄弟の冬雪と暮らすことになった。同居し始めの頃は、猫のように唸っていたらしいけど、冬雪の優しさに心開いた。私は、親しみを込めて、彼を「雪」と呼んでいる。
「ご馳走様でした」
二人で手を合わせ、食器を片付ける。
「私、洗っとくよ。雪、時間ヤバいでしょ?」
パジャマ姿の雪を見て、そう声をかける。
「マジ?スマン、ありがとうな」
「全然、感謝するのはこっちだからね」
ドタドタと音を立てて、自身の部屋に戻っていく。その背中を見つめていた。……ヤバい、時間無いんだった。そう思い、手を動かす。
「……よし、いってきまーす」
既に愛猫たちしか居ない家に、挨拶をする。鍵が閉まっているかを確認し、カバンを掛け直した。
今日は課題を終わらせなきゃ帰れない、と。普段は社長出勤ならぬ、校長出席の私も、今回ばかりは朝早く登校しなければならないと考えた。偉い。
いつもと変わらない道を歩いて行く。
