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  しばらくして、えみは寝てしまった。

  俺は、自分へ引き寄せて、ぼんやり外を眺めていた。

  えみは、いつの間にか寝息を立てて俺の腕を枕にしている。

  思った以上、呑気かもしれない?

「えみ、着いたよ」

  到着し俺が肩を揺り動かすのに、えみはピクリともしない。

「えみ、起きろって」

  えみから自分の腕を引き離して、大きく揺すってみた。

「うーん、まだ、寝てる……」

  えみは、甘えた声音で目を擦っている。

 思わず手は止まるが、起こさないといけない。

 俺が動こうとした瞬間だった。

 えみは、俺の胸元に飛び込んできた。

「!?」

 寝ぼけているえみに、俺は呆気とする。

 それでも起こさないといけないので、俺は我に返った。

「……えみ、着いたって」

「……もう、朝起きるの弱いって……。先に起き……」

  えみは、はっと我に返ると言葉を切る。

  一瞬、硬直して、目をぱちくりさせた。
 
  ちらりと、呆気としてる俺を見る。

  えみの顔は、林檎のようにみるみるうちに真っ赤に染まった。