溺愛してみたい君振り向かせたくて

 5


「だって、私だけ必死になってドキドキしているのに。会話が大人で」

 えみは、しどろもどろで言う。

「それはえみもだろう? ある意味では、本当悪女だ」

「は?」

「俺を煽ってばかり。俺は、冷静でいたいのに、えみが反論してくるからむきになる。その上気のあることを平気で言う」

「わ、私は正直に言ってるだけで、煽るなんて!」

 えみは、慌てて反論してきた。

「煽っているよ。天然の小悪魔。俺を攻略させようとする。本当、面白い」

「!?」

 俺は、えみが何か言う前に、彼女の唇を塞いでいた。

 えみが抵抗しないように後頭部を掴み、服従を求める。

 えみは、確かに俺を見ていてすぐさま力が抜けていく。

 呆気なく、俺の淫らに求める唇を受け入れてくれた。






「……」


 俺が顔を上げると、思わず瞼を閉じたえみは、ゆるゆると長い睫毛を押し上げた。


「えみ、わかったな? 俺が欲しいって思っていること」


「本当に私で?」

 えみは、おそろおそろきいてきた。

「ああ。確認していい? いつ頃離縁を?」

「学生までだけど」

「そう。その間留学予定は?」

「あるけど。地元にいたら、姉の復讐に遭いやすくて。守ってくれる友人もいるけど、恋人との邪魔をこれ以上したくないから」

 えみは、苦虫を噛み締めるように言う。

「じゃあ、すぐに決行だな」

「え?」

「外国にある俺の従姉妹家から、大学通えばいい。すぐに手続きしよう」

「本気?」

「本気。離縁決定までそこで過ごしたらいい。あとは任せろ」

 俺は、戸惑うえみの頭を撫でた。

「……あの、私のストーカーがやばいこと、思い出しました」

 えみは、ぼんやりしていたが思い出したように言ってきた。

「何者?」

「かなりの富豪の息子なので、姉通じて売られそうになったことあって。どうにか父が交渉して、離縁で今井家の加護なしでおさまっているけど、今でもメールがくるわけで。粗暴でおたくで、私がアニメのキャラクターに似てるって」

 えみは、身震いして言う。

「さっさと、早めにこの国から出よう。決めた。すぐにでも動く」

「祥さん、本当まずい感じで」

「俺をみくびっている?」

 俺は、ジロリとえみを睨む。

「違う! 心配で……、だから」

 えみは、言葉を切りくしゃくしゃに顔を歪める。

 俺は、えみの小さな頭を胸元に押し付けた。

「えみ、俺が守ってあげる。俺を信用して」

 俺は、甘く囁きえみの髪を優しく梳いたーー。