溺愛してみたい君振り向かせたくて

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 えみの水着は、大きなハイビスカス模様たっぷりのオールインワンのワンピースで、とても華奢で儚げな雰囲気を醸し出している。

 俺の中では、とても愛らしく思えてしまう。

 えみは、パタパタと危なっかしい足取りで近寄ってきた。

「ごめんなさい。遅くなりました」

 えみは、慌てた様子で目の前に来てぺこりと頭を下げる。

「本当、健気で可愛いねえ。俺様タイプの祥が気にいるのも無理はないか」

 レスキーは、まだいて感心するように言う。

「相変わらず、褒め上手ですね」

 えみは、レスキーの言葉に少しは頬を染めて戸惑いながら言う。

 そんなえみの表情に、俺はムカついていた。

「レスキー、お邪魔虫だ。行けよ」

「祥って、案外嫉妬深いなあ。わかったよ。またね」

 レスキーは、呆れ顔でその場を去って行った。

 どうも俺は、レスキーが気心知れていることもあるが、えみのこととなると冷静さに欠けるところがありすぎだった。