天使なのに、なぜか甘やかされています。

「あ、あの、世河(せがわ)くん、カットモデルやってたんだね」

「は?」

「ここへ来る前に女子達が話してるのを聞いてしまって……」

「あー、バイトで仕方なくやっただけだから」
「両親、生活費は振り込んでくれるけどミュージシャンで、ほとんど帰って来ねぇからほぼ一人暮らしで学費稼がないといけなくてな」

 そうだったんだ……。
 何も知らなかった……。

「あ、あの」

「これについては俺の問題だから、役立とうとしなくていい」

「そうじゃなくて」

「何?」


「わたしが来るの、ここでずっと待っていてくれたんですか?」


 世河(せがわ)くんは帰って来てくれて嬉しいみたいな、優しい顔をわたしに向ける。