天使なのに、なぜか甘やかされています。

わたしは扉を開け、空き教室を出て、屋上階段に駆け足で向かう。
 すると世河(せがわ)くんが階段を降りようとしていた。

「来るの遅いから何かあったのかと思って探しに行こうかと」

「心配かけてごめんなさい、担任の霞堂(かすみどう)先生に呼び出されて……」

 嘘付いちゃった……。
 本当は右腕が薄くなって消えかけたからなんだけど……。

「そう」
 世河(せがわ)くんは屋上階段に座る。

 良かった……信じてもらえた……。

白鳥(しらとり)も早く座れよ」

 わたしはコクンッと頷いて、世河(せがわ)くんの隣に座る。