天使なのに、なぜか甘やかされています。

世河(せがわ)くんも、
 ひかりちゃんも、
 すごくかっこよくて、キラキラしてて、
 いつもとオーラが違う。

 わたしはスマホを左手で持ったまま、右手を自分の口に当てる。

 ひかりちゃん、
 お互い頑張ろうね!って電話で言ってくれたけど、
 わたしの世河(せがわ)くんへの気持ち、気づいて……。

 それなのに、
 世河(せがわ)くんのこと、中1の時からずっと好きなのに、
 海の時も、料理を電話で教えてくれた時も、
 そんな素振(そぶ)りは一切見せずに、

 わたしのこと気遣ってくれていたなんて。

 世河(せがわ)くんも、
 もしかしたら、ひかりちゃんこと……。
 今までこんなことも知らなかったなんて。

「…………わたし、ダメな天使だな」

 わたしはぽつり呟く。

 自虐はいいからって、世河(せがわ)くんに前に言われたのに、
 またしてしまった。

 とにかく、ひかりちゃんの気持ちが分かったのなら、
 わたしがすべきことは一つ。

「あ、右腕治った」