天使なのに、なぜか甘やかされています。

 緊張気味に外からコンコンッと扉を叩く。
 すると、世河(せがわ)くんが少し扉を開ける。
 その時、わたしは扉を開けられないように、ぐっと両手で阻止してしまう。

 勢いで飛んで来てしまったけど、
 やっぱり、世河(せがわ)くんに、
 こんな泣きそうな顔、見られたくない。

「あー、めんどくせぇ」

 世河(せがわ)くんの力の方が強く、扉をガラッと開けた。

 世河(せがわ)くんは左腕を掴み、わたしを中に引き入れ、

「ほんとお前はいつもボロボロだな」

 呆れ顔でそう言い、強く抱き締める。

 わたしも、ぎゅっと抱き締め返すと、
 世河(せがわ)くんの胸の中で号泣した。