天使なのに、なぜか甘やかされています。

「こ、このくらい慣れているので平気です」
「それより、念のため保健室に」

世河(せがわ)くんは、はー、と息を吐く。

「俺より自分の心配をしろよ」

世河(せがわ)くんはズボンからシンプルなハンカチを取り出し、右膝にきゅっと巻く。

「とりあえずこれ、応急処置な」

こんな迷惑かけて、巻き込んでしまったのに、
手当されてしまった……。

それに、翼、一瞬出ちゃったけど、
わたしが天使なことは気付かれなかったみたい。良かった……。

わたしはふと近くのビニール袋に気づく。

え、これ、わたしの黒いローファー!?

「あ、あの、このローファー、どうして?」
「もしかして届けに?」