天使なのに、なぜか甘やかされています。

最終下校のチャイムが鳴った。

マズイ、落ち込んでいる場合じゃない。
このままじゃほんとうに帰れなくなってしまう。
とにかくローファー見つけて、高校を出なきゃ!

わたしは鞄を右肩にかけて立ち上がる。

「…………一人ぼっち、寂しいな」
「…………誰か、天使だって気づいてくれたら、いいのに」

わたしは誰にも気づかれないことを分かっていて、
バカみたいと思いながらもぽつり呟く。 

すると、パタッ。
誰かが歩いて上がってくるシューズの音がした。