天使なのに、なぜか甘やかされています。

世河(せがわ)くん、ずっと黙っててごめんなさい」

「6月末にお父さんから電話があって」
「最初断ったのに押し切られて、転校して家に戻ることになった」

「いじめられて、自ら出た家にか?」

「…………うん」

「未熟な血の下級天使は普通の人間と関わり続けると血が反応して」
「このままここにいると体が消えちゃうみたい」

 世河(せがわ)くんは驚く。

「だから世河(せがわ)くんと2度と会えなくなる」

「それは嫌だから帰るの」
「でも、それももう無理みたい」


世河(せがわ)くん、これ借りてたカーディガン返すね」


 わたしはカーディガンを手渡す。
 すると世河(せがわ)くんはそのカーディガンをわたしに掛け、そのまま抱き締める。