天使なのに、なぜか甘やかされています。



 その後、失礼します、と言って職員室を出る。

 世河(せがわ)くん、教室で待ってるって言ってたから、
 早く教室戻ってカーディガン返さなきゃ。

 わたしは教室に向かって駆けていく。
 けれど、教室が見えて来た時、ふと足を止める。

 あ、両指が薄くなり始めて……。

 そう気づいた瞬間、わたしは悟った。

 もうわたしには時間がないんだ、と。

 わたしは教室に行くのは諦め、下駄箱に向かい、
 急いで靴に履き替え、外に駆け出た。