天使なのに、なぜか甘やかされています。

 わたしは嘘を付いた。

 一週間過ぎて夏休みに入ったら、すぐ家に帰らなきゃいけない。
 だから世河(せがわ)くんと会えるのは明日まで。


 このまま時が止まって、ずっと一緒にいられたらいいのに。




 そんな気持ちを抱えながら、放課後。

白鳥(しらとり)、転校の件だが、待たせてすまなかったな」
「ようやく一校だけ枠が見つかった」

 わたしを職員室に呼び出した担任の霞堂(かすみどう)先生が椅子に腰掛けながらそう言った。

「そう、ですか」

「浮かない顔だな」
白鳥(しらとり)、本当は転校したくないんじゃないか?」
世河(せがわ)達と楽しく過ごしているようだし」

「そ、そんなことは!」
 わたしは慌てて否定する。

「とりあえず、3連休後にもう一度答えを聞く」
「転校を望む場合はその高校に電話で白鳥(しらとり)のことを頼み、2学期から通えるようにお願いしてみるから」
「きちんと考えて決めろ、いいな?」

「分かりました……」