春の放課後の海も綺麗だったけど、
天の川が水面に映っている夜の海はもっと綺麗で、
涙を堪えられないや。
みんなと、
世河くんと、
線香花火、やりたかったな。
「白鳥!」
後ろから世河くんの叫び声と駆けてくる足音が聞こえた。
それと同時に両足に違和感を感じて靴下を見ると、足首が少し見えるくらいまで靴下が下がり、足首が薄くなっていた。
このまま逃げても追いつかれると思ったわたしは諦めて足を止める。
すると駆けてくる足音が止まった。
「泣いてるのか?」
わたしは背中を向けたまま口を開く。
「うん、夜の海が綺麗で感動して」
「突然、何も言わずにいなくなってごめんね」
「一人で散歩したい気分になって」
「違うだろ」
「鞄のポケットに入ってるお前の羽根、また一瞬薄くなった」
「勝手にいなくなってんじゃねぇわ」
「体調悪くなったんなら言えよ」
わたしはふと足首を見る。
え、薄くなってない?
「…………世河くん、治った」
「は?」
わたしは振り返って笑う。



