天使なのに、なぜか甘やかされています。

 花の名前を言ったら、
 わたしの好きな人が世河(せがわ)くんだって、
 告白するようなもの。

 だけど、またいつ消えそうになるか分からないし、
 言いたい。

 なのに、胸がドキドキしすぎて、言えない。

「――答えられません、まだ」

「そう」

 世河(せがわ)くんは掴んでいた左腕を離す。
 わたしが不安になると、世河(せがわ)くんは左手を掴み直した。


「じゃあ、言える時が来たらこうやって合図して」
「また聞くから」