天使なのに、なぜか甘やかされています。

 実際の事は分からないけど、

 もしかしたら、夜久(よるひさ)くん、
 駅でわたしと世河(せがわ)くんが一緒にいるのを見たことがあって、
 わたしの気持ちに気づいていて、
 それでも今日までずっと想い続けてくれてたんじゃないかなって、

 表情でそんな気がして、涙が零れ落ちそうになる。

 わたしはとっさに右手の甲を顔に当てるもその涙は止まらず、右の掌を濡らしていった。




 それからアイゼリヤを出て、その看板が見えなくなったところで、世河(せがわ)くんが足を止める。

白鳥(しらとり)、少しは落ち着いたか?」

「うん」

「じゃあ、聞くけど」

 世河(せがわ)くんは本気の目でわたしを見つめる。