天使なのに、なぜか甘やかされています。

 驚きの余り、わたしの口が自然に少し開く。
 そのまま両眉が下がり、顔に熱さを感じて、左右の瞳が潤むのが分かった。
 すると世河(せがわ)くんは椅子から立ち上がる。

「そういうことで、白鳥(しらとり)、まだ本調子じゃなさそうだから一緒に抜けるわ」

 世河(せがわ)くんの言葉を聞き、夜久(よるひさ)くんは椅子から立って退く。
 世河(せがわ)くんは通路に出て、鞄を左肩にかけて立ち上がったわたしの左腕を掴んで歩き出した。

 それを見て周りが騒ぐ中、
 わたしは後ろを少し振り返る。
 夜久(よるひさ)くんが涙を堪えながら笑った顔が見えた。