天使なのに、なぜか甘やかされています。

 わたし達は中央の窓から一緒に景色を見る。

 今日は晴れたね、とか何か話したいのに、
 挨拶出来ただけで胸がいっぱいで、
 声、かけられない。
 どうしよう。

 そう、悩んでいると、
 駆けて来る足音が聞こえてきた。

 え、教室に誰か来る!?
 世河(せがわ)くんとふたりきりなところ見られたらマズイかも……。


白鳥(しらとり)


 世河(せがわ)くんはわたしの右腕を掴み、そのまま窓際の1番後ろのカーテンまで連れて行き、カーテンを解いて、一緒に中に隠れる。
 すると一瞬、ふわりとドレスのようにカーテンが広がった。

 世河(せがわ)くんが物凄く近い。
 ドキドキしずぎて、息がしずらい。

 隠れていると、隣のクラス(2組)の扉が開いた音が聞こえた。
 わたしが安堵する隣で世河(せがわ)くんは、ふっ、と笑う。

「隠れた意味なかったな」

「だ、だね」
「出よう」

 世河(せがわ)くんはわたしの右腕を掴んだまま放さない。

世河(せがわ)くん?」

 呼びかけると、世河(せがわ)くんは真剣な眼差しをわたしに向ける。